※お客様より許可を頂いて掲載しています。
頼まれた仕事は全部引き受けてしまう
お客様は、仕事を頼まれたら、自分が大変でも「いいよ」と引き受けてしまう人。その結果、超ハードワークで毎日クタクタ。その頼んだ人はお客様より早く帰っているのに……。
平日はもちろん残業だし、土日は休日出勤するときもある。「こんな生活、ずっと続けるのは無理だよなぁ……」と思うに至り、カウンセリングに飛び込んでこられました。
「〇〇さんにとって、頼まれた仕事を断ることはどんなことを意味しているんでしょうね?」と聞いてみると、「……居場所を失うこと」という答えが返ってきました。
父親が厳しい家庭だった影響もあり、お客様はずっとずっと「ここにいてはいけない」と思っていたようです。
仕事を断らないことで、「一生懸命仕事します。誰よりもバリバリやります。だからここにいさせてください。こんだけやっているんだから、この場所にいてもいいよね?」という免罪符になっていたのです。
自分が忙しいからといって、頼まれた仕事を引き受けずに断ることは、お客様にとっては居場所を失うことになり、それが何よりも怖かったようです。
自己肯定感を上げ、いざチャレンジ
お客様は自分が仕事ができていないと思っていたのですが、実際はそんなことはなくちゃんと評価されているのです。
自分をすり減らしてしまうハードワークをしなくても、「自分はこの場所にいてもいいんだ」と感じられるように、「自分で思っている以上にやれていた」ことに気付き、少しずつ自分の価値を受け取っていくトレーニングをしていきました。
するとだんだんと、しんどさが減り、自分を責めることも減っていったのです。
あるとき所属している部全体の仕事がいっぱいあって、上司がチラリと「やってほしいな~」という目でお客様を見ていました(今まで仕事を引き受けてきたため、周りからは「当然やってくれるよね」という目で見られている)。
しかしそのときお客様自身も締切間近の仕事を抱えておりいっぱいいっぱいな状況。
今までなら、率先して部の仕事を引き受けて自分の仕事は後回し。深夜残業したりシワ寄せが来たら休日出勤して仕上げるというパターンだった。
でも今回は。
「ごめん!手伝えない。全ての期待に応えることはできない、できんもんはできん!」と部の仕事についてはごめんなさいと断ることができた。
その後、部の仕事は締切を伸ばしてなんとかなっていったそうです。
自分に余裕がないのに他人の仕事をいつも引き受けてきた昔に比べると、「私やれた!自己肯定感があがった!」と思える出来事だったそう。
居場所を失う恐怖が減り、「他人との境界線を引けるようになってきたんだなと成果を感じることができた」と話してくださいました。
「断れない」がいきすぎると自己犠牲に
なんでも引き受けてくれる人は重宝されますが、やりすぎてしまうと、今度は自分がしんどくなってきます(これを、犠牲といいます)。
余裕のあるときはやってあげたらいいけれど、そうじゃないときは断る勇気も必要ですよね。
いつも断らない人になっていると、言い方は悪いですが、いいように使われてしまうケースも少なくありませんから。
とはいえ、断れないのにも、何か理由があることが多いです。
今回は「居場所を失う恐怖」でしたが、他にも「嫌われたくない」とか「独りぼっちになってしまう」「自分は役立たずだと思いたくない」といった恐れを感じている人もいると思います。
そういった不安や恐れを抱えたまま、頼み事を断ることは難しいですが、断っても居場所を失うことはないとか、自分は役に立っているのだと安心感を感じられるようになってきたら、断ることができそうですよね。
この調子で自分の中に安心感をどんどん育てていきましょうね。