お客様の声

カウンセリングレポート1~しんどいワケは我慢と無価値感にあった~

2016年2月24日

本日は、外からはわかりにくいカウンセリングの現場について書きたいと思います。

クライアントさんは、上野さん(仮名)30代後半の男性です。

上野さんがご自身の中にある抑圧してきた感情と向き合い、解放していくプロセスをレポートで綴ります。

長文となりますが、最後までお付き合いくださると嬉しいです。

※この記事はご本人の許可を得て掲載しています。

 

生活に不自由はないけれど「ただ生きてるだけ」

最初にお電話でお話させていただいたときは、職場の人間関係は問題ないし生活に不自由はないけれども

特別嬉しいとか楽しいといった感覚がなく、「ただ生きているだけ」といった状態で何かモヤモヤするというお話でした。

結婚は気になってはいるけれども良いイメージがなく、年齢的にしなければいけない気がするけど、本当に自分は結婚がしたいのかよくわからないそうで

上野さんは自分がどうしてしんどいのか、何に引っかかっているのかわからないといったご様子でした。

その後、面談カウンセリングにお越しいただき、色々とお話を伺う中で、主に以下の特徴が見えてきました。

・無価値感が強く、自分はダメな人間であると思っている。

・我慢が癖となり、自分の感情を抑え込んでいる。社会人はこうすべきという思い込みが強い。

・結婚に良いイメージがない。女性は怖いと思っている。

どうしてそうなったんだろう? という視点で原因を探していきました。

パートナーシップも含め、あらゆる対人関係は幼少期の家族関係が元になります。

そこで家族についてお話を伺っていくと、お母さんとの関係がポイントとなっていたことがわかりました。

愛情表現を全くしないお母さん

上野さんのお母さんは、親としての役割は果たすものの愛情表現を全くしない人でした。

褒めることもなくいつもピリピリしていて、笑顔のお母さんを思い浮かべることができないくらい厳しい方だったそうです。

お母さんに笑って欲しかったのに、幼い上野さんにはそれができなくて、「自分はダメな子だ」と知らず知らずのうちに思い込んでいました。

強い無価値感のルーツはここにあったようです

そこで、当時の寂しかった気持ちやお母さんに笑顔になって欲しいと思っていたことなどを口に出して言ってもらい、幼い頃の自分の感情を解放していくことにしました。

厳しいお母さんの元、甘えることができない環境にいた上野さん。

子どもの頃いろいろな我慢をしていましたが、ある印象的な出来事についてイメージワークを行いました。

それは、幼稚園の頃、お腹がいっぱいなのに「お弁当を早く食べなければ!」と焦って必死になって食べようと頑張っていたときのこと。

強く印象に残っている出来事は、感情的なインパクトがあるケースが多いんです。

そこで、その頃の自分をイメージして、当時の自分に「無理しなくていいんだよ。お弁当残してもいいんだからね」と優しく声をかけ、封印していた辛い気持ちを解放していきました。

このイメージワークは、心の奥に大切にしまっていた感情を揺さぶり、終わった後、上野さんの目には涙が滲んでいました。

「まさか自分が過去を思い出して泣くなんて」

カウンセリングの帰り道に、上野さんは放心状態になったそうです。

今となっては「あれはすごかった笑」と話せますが、当時はそれだけ我慢していたんでしょうね。

感情を感じにくいタイプの人でも、感情がないということはありません。

感じてはいけないと抑え込んでいるから、普段気付かないだけなんです。

抑え込むのにも相応のエネルギーが必要なため、抑圧タイプの人はこれといった理由がないのに疲れやすくなる傾向があります。

抑え込んだ感情は、心の中に残ったままずっと消えることはありませんので、イメージワークなどで感情を解放してあげると、溜まった感情が消えて心が軽くなっていくんです。

「やりたいことがない」は勘違い?!

我慢はあらゆることに派生していきます。

時には、好きなことをやることへの心理的な抵抗を生み出すことも。

「あまりやりたいことがない」とおっしゃっていた上野さんですが、よくよく聞いてみると、かつて夢中になったものがいくつかあったんです。

しかも相当ハマっていたようで、楽しかった記憶が残っていました。

しかし当時「そんなことばかりやって」と親から苦言を呈されたことで、いけないことなんだと封印してしまったのでした。

そこで、もし気になることや興味のあることがあるのであれば、「楽しむことは悪いことではないんだよ」と自分に言い聞かせてもらって、心の赴くままにやってみることを提案しました。

上野さんは好きな場所に出かけて楽しむことをコツコツ実行していきました。

日常で楽しいとか嬉しいといった気持ちになることがほとんどないとおっしゃっていた上野さんですが、何回か実践していく中で、自分の中にあった「楽しい」気持ちを思い出すようになってきました。

もちろん「こんなことしていいのかな」という抵抗感は出てきます。

でもその抵抗を感じながらも、そこで止まらずにやりたいことをやっていくことが大切なんですね。

両親から受け継いだ価値観の影響

・お金を楽しいことに使っちゃいけない

・仕事は真面目にやらなければならない

・休んだりサボるのはダメ

・夜更かしはダメ

・怒ってはいけない

・好き嫌いは良くない

・きちんとしなければならない

・贅沢はダメ……

無意識のうちに、上野さんは多くのルールに縛られていました。

仕事上でもプライベートでも、これらのルールは常に上野さんを縛り続けていました。

「これだけの義務感があれば相当しんどいはずですよ」とお話させていただきました。

我慢するのではなく、まず「自分はどう思うのか?」を大切にして、ネガティブな感情が出て来ても自分に嘘をつかないようにすることに取り組んで頂いたんですね。

上野さんによると、あらゆることは「そうしなければならないからやる」のであって、自分がやりたいかどうかなんて考えてもいなかったそうです。

「自分がやりたいからやる、やりたくないならやらない」という新しい視点を手に入れることになり、上野さんは自分の心の感覚に敏感になるべく試行錯誤されていました。

職場の人間関係は問題はないものの、深い付き合いとなると面倒だと思う自分がいる。

かといって、ずっと1人でいるのはしんどいという話も出ました。

実は寂しいと思っているのではないか? という視点から、寂しさの感情に気付いていくことにも取り組みました。

途中で、抑えていた自分の感情に気付いた上野さんは「知らない方が楽なこともあるのかもしれませんね」とポツリ。

確かに自分と向き合うということは、時に見たくない嫌な感情を伴うものです。

普段抑圧している人が、感情を解放していくと、嬉しい楽しいといったポジティブな感情を取り戻せるようになる半面、悲しい辛いといったネガティブな感情も感じるようになります。

感情には良いも悪いもないので、どちらも感じるか、それともどちらも感じないかの2択しかありません。

寂しいと気付いていなかった人が、「実は自分は寂しかったんだ」とわかると、すごく寂しくなってしんどくなってしまうこともあります。

でも寂しさに寄り添って抜けていくことができれば、かなり楽になっていきます。

現在とこれから

上野さんはこうおっしゃっていました。

「高見さんは圧が強くないし、近すぎず離れすぎずの距離感が有難かった。

カウンセリングを受ける前と今で、仕事も一緒だし同じ環境にいるのに随分楽になった」

前は何がしんどいかわからなかったけれど、今は自分のことがわかるようになってきた。

自分のことを肉親以外に話すようになり、聞いてもらえる場所があることが良かったとおっしゃっていました。

親との葛藤はだいぶ薄らいできており、お母さんに対してずっと持っていた怒りは減り

自分と同じような境遇の人から話を聞いても、感情的に反応しなくなってきました。

人間関係においても、違和感があると今まではすぐに「自分が悪いんじゃないか」「自分がつまらないんじゃないか」と思って自分を責めていたのですが

今は「相手が自分に興味がないならそれでもいいか」とフラットに捉えられるようになりました。

女性に対するイメージも変化してきています。

お母さんのイメージが強烈すぎて、「女性は厳しい&怖い」というイメージを持っていましたが、周りに優しい女性がいることに気づき始めたそうです。

「好きなことを一緒に楽しめる人がいたら、もっといいだろうな……」という気持ちも芽生えてきたとのこと。

上野さんは「好きだと思える人がいない」とずっと思い込んできていたんですが、実はそうではなくて「相手を好きになることを自分が止めていた」ことに気付いたんです。

これは大きな変化でした。

今後は、無価値感をさらに癒しながら「パートナーを見つける」プロセスに入っていかれます。

上野さんはコツコツ有限実行で取り組むタイプ。今も前を向いて少しずつ進んでいらっしゃいます。

その背中は希望を携え、静かな強い意思を放っているように感じます。

上野さんの幸せを引き続き応援しています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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