たとえば仕事などで同僚や先輩、後輩と関わるときに、自己表現がうまくできないことで心と心で会話する感覚がなく寂しさを感じているとします。
その寂しさっていつからあるものなんだろう?
最近感じるようになった?
それとも、もうずっと前からある?というのはカウンセラーとしては気になるところ。
ふいに「お父さんとお母さんはどんな人でしたか?」と質問することもありますが、会社の人間関係の中で感じていた寂しさは、親との関係でも同じような寂しさを抱えていた、ということがじつはよくあるんです。
親が忙しくて、構ってもらえなかった。親が怖くて、自分のことを話せなかった。嫌なことがあると親がすぐに不機嫌になる。親のやり方を押し付けられて、自分の意見は認めてもらえなかった。など
さまざまな事情があって家庭の中でも、自己表現がうまくできなかった。家族とも、心と心で会話している感覚がなかった。
そういったことがあると、家庭以外の人間関係においても親との間で起きたことを再現してしまうことがあるようです。
あくまでもケースバーケースですが、根っことなる親との間の感情を癒していったり、当時の自分の気持ちに向き合ってみると寂しさが和らいでくることが多いようです。
本当は、親に自分のことを見て欲しかった。「今日は学校どうだった?」と聞いて欲しかった。親の本音を聞きたかった。心と心でつながりたかった。そんな思いが隠れているかもしれません。
自分の本音に気づき、それに素直になったとき、もう1人の自分とも、つながることができます。「ようやく、私に気づいてくれたんだね」と。
すると、これはやってみた人じゃないとわからないと思うんですが、ものすごく安心するんです。ホッとして、今まで抱えていた不安やもやもやがすーっと消えていく感覚です。
そうやって、自分に向き合い、自分を大切にすることを続けていくと、感情のわだかまりが減っていきます。親に対して持っていたものもね。
すると、実際の親子関係が良くなることもありますし、それに伴い、そのほかの人間関係もスムーズにいくようになるんです。
親子関係はすべての人間関係の土台になるものです。
でも親子関係が悪かったからといって、ガッカリする必要はないですよ。ちゃんと取り組んでいけば、人間関係は改善していきますからね。