自分自身・人間関係の悩み

【心理学講座】ママ友との関わり方~「子供のために」という圧力~

2016年10月3日

カウンセリングサービスでの基幹的な人気コンテンツである「<カウンセラー発!すぐに役立つ心理学講座」(月曜・木曜更新)にて

読者の方から頂いたリクエストにお答えするカタチで講座をUPしました!

今回のテーマは
ママ友との関わり方~「子供のために」という圧力~

ママ友との関わりは、女独特の世界がありますよね。

子供のために自分の時間を費やして熱心に活動するお母さんもいれば、そこまではしなくていいかなと思うお母さんもいます。

それぞれのやり方を尊重できれば一番いいのですが、「母親とはこうあるべき」という観念があったり、「良い母親」であろうとして頑張るお母さん達は、自分達のやり方から外れたお母さん達に対して、許せない、ずるい、といった感情が生まれやすくなります。

というのも、本当はもっと自分の時間を持ちたいし、好きなことがしたい、でもそれは良い母親として、やってはいけないという禁止があるからです。

このようなお母さん達の心理を紐解いて理解を深め、良好な関係を保ちつつ、ちょうどよい距離感で付き合っていくための方法を考えていきます。

◎リクエストを頂きました◎

子供の習い事のお母さん集団が苦手です。とても熱心で、子供が練習してる間ずっといます。
自分が好きで見ているだけならそれでいいのですが、練習を見ず、送り迎えだけして帰ってしまうお母さん達を良く思ってなく、自分達と同じように「子供のために」見てあげないといけないという圧力を出しています。かといって、当番の仕事があるわけではありません。

言ってることは「子供のために」なのですが、練習を見ないお母さん達はずるい、私たちは自分の時間を割いてここまでやってるのに、やらない人がいるのが許せない、という印象を受けます。純粋に子供の練習が見たいなら、他の親がどうでも気にならないと思います。

このような、自分と同じ苦労をしない人に対して、ずるいと思う心理はなんなんでしょうか?
私は練習を見たいとは思わないのですが、圧力をかけられると嫌なのにいなきゃいけなくなりそうで怖いです。このような人への対処法も知りたいです。(一部編集させていただきました)

リクエストありがとうございます。
今回、担当させていただく高見綾です。どうぞ、よろしくお願いします。

子供のお母さん達との関わりは、独特な世界がありますので、多かれ少なかれ皆さんが悩むところですよね。子供の習い事の練習をずっと見ていなければならない、という圧力を感じるということですね。

本来であれば、練習を見たい人は見て、そこまではと思う人は送り迎えだけする、というように、それぞれのお母さん達が好きなようにやればいいのでしょうが、みんな同じようにするべきだという同調圧力がかかってくると厄介ですね。

本当は送り迎えだけをしていたいのに、断ったら他のお母さん達との関係が悪くなるのではないか、また自分がうまく振る舞えないことによって子供に迷惑をかけてしまうことが心配、ということもあるでしょう。

こうした同調圧力をかけてくる人の心理を紐解きながら、どのように関わっていくのがいいのかを考えていきたいと思います。

 

母親とはこうあるべきという心理

リクエストにありますように、自分が子供の練習を見たいという純粋な動機からなら、他の親がどうしていようと気にならないはずです。「子供のために」と口では言っているものの、本心は違うところにありそうですね。

子供のために、良い母親でいなければならないという観念が強くて、「良い母親」として一生懸命子供に尽くそうとしているとも言えます。何が良い母親なのかは人によって考え方が分かれるところではありますが、この場合は、子供を送り迎えして練習も熱心に見るのが「母親としてあるべき姿」だと考えているようです。

ところが、本心では、ここまでやるのは大変だと思っていたり、他にもやりたいことがあるのに、と思っていたり、多少なりとも自分の時間を犠牲にしているという認識がありますので、他のお母さん達が自分と同じ様に振る舞わないと、自分が我慢をしている分だけ反発心が起きます。

「母親としてこうあるべき」という観念は根強く、自分に対して良い母親としての義務を課す人は、同じことを他の人にも求めます。もし、「母親だからといってそこまでやらなくてもいいよね」と自分に許してあげることができていたら、他のお母さんに対しても同じ様に自由を尊重することができるのです。

自分達と同じような苦労をしない他のお母さん達に対して、ずるい、許せない、母親として難あり、と思う心理の裏には、本当は練習を見ない他のお母さん達と同じ様にしたいという願望が眠っているからなのです。もっと自分のために時間を使いたい、たまにはゆっくりしたい、というのが本心なのですね。

ただ、本音はそうであっても、素直に認められる人はあまりいないでしょうが・・。もし認めてしまうと、そのお母さん達が考える「良い母親」ではなくなってしまいますからね。ですので、本音は封印して、あくまでも「子供のために」「普通の母親なら」という正論を盾にしてくると思います。

 

どう対処するか

もし、「あなたも練習を見るべきよ」と言われたり、言葉では何も言われなかったとしてもそのような雰囲気や圧力を出された場合はどうすればいいでしょうか?

練習を見る熱心なお母さん達は「子供のためにいい母親である」ことによって、仲間意識を形成している可能性もあると思います。自分たちに同調しないお母さん達を良く思わないことによって、敵と味方に分けているとも考えられますね。

そのような人達は、否定されることを何よりも嫌いますので、うまくやっていくためには、熱心なお母さん達を否定しないことが前提としてとても大切です。練習を見たくないと思うのなら、「いいお母さんですね」「すごいですね、わたしにはとてもそこまで熱心に関わることができないです」と、そのお母さん達の頑張りを承認してあげるといいでしょう。

そのお母さん達がおかしいのではなく、私が無理なんだと伝えてあげることによって、安心感を覚えるでしょう。

また、家族の事情や、地域の当番など、どうしようもない理由を挙げて断るのもいい方法です。練習を見ていない間に、自分の趣味の時間を満喫していたとしても、そのあたりは言わない方がベターです。

なぜなら熱心なお母さん達は、自分の時間を犠牲して子供に尽くしているという認識があるので、あまりに自分の時間を楽しんでいる様子が伝わると、よく思われない可能性があるからです。

子供を通じてのお母さん達との繋がりは、時に厄介ですが、相手の事情を汲んだ上で尊重してあげると、いい距離感が保てると思いますよ。

(完)

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