仕事で完璧主義になってしまう理由|疲れているのに手を抜けない切迫感の正体

ななみさん

完璧にやらないと気が済まなくて、疲れているのに、手を抜く気にもなれないんです。

この感覚って、おかしいですか?

心理カウンセラー 高見綾

そんなことないですよ。こういった感覚を抱えている人、実は結構多いんです。

疲れているのに、なぜ手を抜く気になれないのか。

今日はその「なぜ」を、根っこから紐解いていきますね。

目次

この記事のハイライト

  • 仕事で完璧主義になってしまう背景には、「責任感が強い」「真面目すぎる」だけではない、もっと根っこの理由がある。
    ─「ちゃんとやることで自分の居場所を守ってきた」という経験(条件付き承認)が影響していることが多い。

  • 「手を抜く気になれない」のは、融通がきかないせいではない。
    ─ 完璧にやることが「自分の価値の証明」になってしまっているから、やめるのが怖い。
  •  「仕事へのこだわり」と「切迫感」は、似ているようで、まったく別のもの。
    ─ こだわりは内側から湧くエネルギー。切迫感は「できなかったときへの怖れ」から来る感覚。
  • 「完璧主義をやめること」ではなく、「完璧じゃない自分もダメじゃない」という感覚を育てていくことが大切。

そのしんどさ、こんな形で出ていませんか?

ご相談では、こんなお話をうかがうこともあります。

「仕事のクオリティは落としたくない。完璧にやりたい。

それでも、このままでは疲れ果ててしまいそう」

あるいは、

「手を抜いている人を見ると、正直イライラする。

どうしてあの人は、あれで平気なんだろう、って思ってしまう」

手を抜きたいわけじゃない。良い仕事をしたいから、やっている。

ただ、こんなに消耗するやり方を、このまま続けていくのはしんどい。

解決の糸口が、見えない。

「完璧主義は性格だから変えられない」「責任感が強いから仕方ない」と思っている方もいるかもしれません。

けれども、今日お伝えする心の動きを知った方たちは、

「完璧じゃなくていい、と許可を出せるようになった」

「自分を責める回数が減った」

「前より、ずっとラクになった」

という変化を経験されています。

性格を変えなくても、心の動きを知ることで、「完璧主義に振り回されない自分」に変わっていける。

今日は、そんなお話をします^^

実は私自身も、完璧主義に縛られていた一人でした

実は私自身も、完璧主義に長い間、縛られていた一人でした。

私は礼儀やしつけが厳しい家で育ちました。

食事の作法、来客のときのお茶出しなど、その場に合った対応を求められていました。

そのとき感じていたのは、「ちゃんとしていないとまずい」という感覚だったんだと思います。

大人になっても、その感覚は続いていました。

以前、講座を担当していた頃のことです。

受講生の方には喜んでもらえていました。それは十分伝わってきていたんですね。

なのに、毎回終わった後に落ち込んでいました。

「ここがうまくできなかったなぁ」
「あの説明、わかりにくかったかも」
「もっとここがこうできたのに」

よくできたこともあったと思うんです。

それでも、そっちよりも先に「足りなかったところ」が浮かんでくる。

講座が始まる前は、「終わったら達成感でいっぱいになるだろうな」というイメージがあったんですが、実際には一度もそうならなかったんです。

そんなとき、自分の気持ちを書き出すワークに出会いました。

続けていく中で、少しずつ気づいてきたんです。結構がんばってきたんだな、と。

さらにセルフコンパッション——自分への思いやり——という考え方に出会って、

自分がずっと感じてきたことが、心理学的にも、きちんと意味のあることだとわかって、腑に落ちた感じがしました。

がんばったことを、先に拾ってあげる。

できなかったことより先に、「今日、自分はここまでやれた」と見てあげる。

そのことが、少しずつ自分を変えていきました。

落ち込んでも立ち直りが前より速くなった。

改善点も、責めるよりも素直に見られるようになった。

「ちゃんとしなくちゃ」という感覚は今もあります。けれども、以前ほど自分を縛る感じではなくなってきました。

だから今度は、同じようなしんどさを抱えている方の力になりたいと思っています。

この記事では、3つのポイントをお伝えします。

ひとつ目は、完璧主義はどこから来るのか。

ふたつ目は、なぜ「やめたい」と思えないのか、その切迫感の正体。

みっつ目は、何が変わると楽になっていくのか。

記事の最後には、今日の話を実践していくための人気の小冊子もご用意しています。ぜひ最後まで読んでみてください。

完璧主義はどこから来るのか

「責任感が強い」「真面目すぎる」とよく言われること、あるんじゃないかなと思います。

もちろんそういう面もあると思います。

けれども、カウンセリングをしていて見えてくるのは、もっと根っこのところに理由がある、ということなんです。

よくよくお話を聞いていくと、こういう経験を持っている方がとても多いんです。

何かができたときだけ、褒めてもらえた。

できなかったことは、すぐ指摘された。

居るだけではダメで、何かしていないといけない感じがあった。

心理学では、これを「条件付き承認」と言います。

何かをしたとき、できたとき、役に立てたとき。そういうときに認めてもらえる、という経験です。

これが積み重なると、「ちゃんとやること」が、自分の居場所を守るための手段になっていくんです。

小さい頃から、ちゃんとすることで「大丈夫」を作ってきた。

大人になっても、その感覚がそのまま残っている。

カウンセリングをしていると、仕事で成果を出していても「まだ足りない」「もっとやらなきゃ」という感覚が、止まらない方がいらっしゃいます。

仕事でよくできた10のことより、うまくいかなかった1つのことのほうが、ずっと重くなる。

この傾向が特に出やすいのが、職場という場所です。

職場は、成果が見える場所。
評価される場所。

小さい頃、「ちゃんとしないと見てもらえなかった」という感覚がある人は、評価される場所に立つと、その感覚がまた動き始めやすいんです。

そして自分でも気づかないまま、消耗していく。

なぜ「手を抜く気になれない」のか——切迫感の正体

これが、完璧主義の、一番しんどいところだと私は思っています。

「手を抜けばいいじゃない」「もう少し適当にやったら」と言われても、そうしたいとは思えない。

「ゆるめていいよ」と言われても、ゆるめた先が怖い。

カウンセリングで「もう少しゆるめてみたら、どうなると思いますか?」と聞くと、こんな言葉が返ってくることがあります。

「完璧じゃないなら、やっている意味がない気がするんです。自分がそこにいる理由がなくなる感じがするというか」

お話を聞いていくと、何かをした自分だから居場所がある。何もしない自分なら受け入れてもらえるとは思えない。

そんな感覚が根っこにあることが多いんです。

これって、融通がきかないとか、そういうことではないんです。

「完璧にやること」が、自分の価値の証明になってしまっているから、やめるのが怖いんです。

完璧にやっている自分だから、ここにいていい。ちゃんとやっていれば、評価される。

その感覚が根っこにあると、「ゆるめる」ことは、自分の存在価値を手放すことと同じように感じてしまう。

だから、切迫感がある。

「こだわり」と「切迫感」は、まったく別のもの

ここで大事な区別をしておきましょう。

「仕事へのこだわり」と「切迫感」は、似ているようで、全然違います。

こだわりは、自分の内側から湧いてくるエネルギーです。

切迫感は、「できなかったときへの怖れ」から来る感覚です。

こだわりだけで動いていれば、疲れてもまた充電できる。

切迫感が混じっていると、気づかないうちに消耗し続けます。

「今、自分はどっちが動いているのか?」それに気づくことが、最初の一歩です。

何が変わると、ラクになっていくのか

私は「完璧主義をやめましょう」という話をしたいわけじゃないんです。

仕事に真剣に向き合いたいという気持ちは、あなたが大切にしてきたもの。

変わっていくのは、「完璧じゃないと自分はダメだ」という感覚のほうです。

切迫感の部分ですね。「できなかったときへの怖れ」。

これに気づいて、やさしく声をかけてあげましょう。

たとえば、「もう一回確認しなければ」と感じたとき、「あ、今、怖くなっているのかな」と気づいてみる。

「大丈夫。ここまでやれてるよ」と、自分に言ってみる。

できなかったことより、がんばったことを先に拾う視点。

「今日、私はどこまでやれた?」と自分に聞いてみる習慣。

これが積み重なっていくと、少しずつ変わっていきます。

心理学では、これを「セルフコンパッション(自分への思いやり)」と言います。

自分の失敗や不完全さに、やさしく接する力のことです。完璧主義の切迫感をほぐしていくのに、この視点がとても役に立ちます。

実際に、こういう変化を経験された方がいます。

「達成できないことがあった日も許せるようになりました。

そのほうが、逆に効率がいいのかな、という気づきもありました(女性・40代)」

「役職が上がるほど仕事の重さが増して、自分を責め続けていた状態でしたが、そのままの自分でいていい、という大きな安心感が生まれました。

どっしり構えられる自分になれました(女性・30代)」

完璧じゃなかった自分を責めるより、今日やれたことに目を向けてあげる。

それだけで、じわっと変わっていくんです。

※ここまでの内容を動画でも解説しています👇

【まとめ】良いこだわりと切迫感を、分けていくだけでいい

今日お話しした3つをまとめます。

ひとつ目。

完璧主義は、「ちゃんとやることで自分の居場所を守ってきた」条件付き承認の経験から来ていることが多い。

ふたつ目。

「やめたくない」のは、完璧にやることが自分の価値の証明になってしまっているから。

切迫感の正体は、「できなかったときの怖れ」。

みっつ目。

変わっていくのは、完璧主義をやめることではなく、「完璧じゃない自分もダメじゃない」という感覚を育てていくこと。

完璧主義をやめようと思うのではなく、良いこだわりと切迫感を分けていくだけでいい。

これを覚えておいてください。

よくある質問

Q
切迫感がゆるむと、仕事のクオリティが落ちませんか?
A
「自分に優しくしたら、向上心がなくなるんじゃないか」——そんな心配をされる方、実はとても多いんです。
私自身も同じ心配をしていましたし、カウンセリングの中でもよく出てくる問いです。
ところが、実際に関わってきて感じるのは、逆なんですよね。
自分に優しくなった方ほど、怠惰になるのではなく、「自分らしく生きるにはどうすれば?」という新しい問いを持ち始める。
力を抜いて休もう、ではなくて、もっと自分の本音で頑張りたい、という方向に動いていく。
「優しくしたら甘えになる」と心配する方って、元々、向上心のある方なんですよね。
だから、自分に優しくしたからといって、その向上心が失われることはない。
もし失われるとしたら、やりたくなかった気持ちが表に出てきただけかもしれない。
実際に変化していった方を見ていると、「ラクになったのに、仕事は今まで通りできている」という方がとても多いです。
怖れから完璧にしようとするより、余裕のある状態で取り組んだほうが、長い目で見たパフォーマンスは上がることが多いのです。

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この記事を書いた人

高見綾|女性リーダー専門の心理カウンセラー

職場の人間関係に消耗している女性リーダーが、
自分を責めずに前へ進めるようになる専門家。

嫉妬・摩擦・正論が通らない——
その構造を心理の視点で整理し、
「私はこれでいく」と判断できる状態をサポートしています。

カウンセリング実績4,000件以上。
著書『ゆずらない力』(すばる舎)韓国語版も出版
NHK「あさイチ」職場の嫉妬・妬み特集 VTR出演などメディア協力多数。

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